深い河
時々思い出すのが、宇多田ヒカルのDeep RiverのMV。
冒頭、美しい海と島の映像と、詩の朗読から始まる。
彼女の内面から溢れる美しい言葉たち。
二つの鏡が 向き合い 音を立てて 反射し合った。
自分によく似た人に出会った時、私はそんな音を 立てるだろう。
子供も 大人も、鏡に映る自分を見るのが好きだ。
映されようと夢中になり 自分もまた鏡であることを忘れれば、
人は静かな空間をもてあまし 虚しさを覚える。
私は 鏡だ。
光の届かない場所で動けずにいる者に 手を差し伸べるのではなく、できる限り近くに自分を置く。そして同じ景色を観る。
痛みは、誰かと共感できたなら 気持ち良いものに変わるということを 知っている。
悲しみが減るのでも世界が変わるわけでもないが、私の中で反転された世界は確かに新しい景色に見えた。
誰もが自分に似たものを探している。
どんなに自分が嫌いであろうとも、自分に似たものなら 愛せる。
尊敬や憧れという感情には、愛が無い。
然るに人が一生の中で最も愛すのは、世界で一番似ている人ーーー自分の子供。
私は子供だ。
正しい道を進んでると信じているから、途中で捨てたもの、あきらめたものを、
犠牲だなんて 思わない。
空が目を閉じる。