同化することも、拒絶することも
少し前に、髪を短く切った。
メンテナンスが楽になるかと思ったが、案外寝癖やらで面倒くさいので、また伸ばそうと思っている。
伸ばしかけの前髪が邪魔なので、最近上に上げている。
そうしたら兄弟が「お母ちゃんヘアーだ」と。
そういえば、母ももう少し若い頃、いつもワンレンのボブで、カチューシャをしていた。
(最近はめっきり髪のボリュームもなくなってきて、やってないようだけど)
兄弟にそう言われて、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
もちろん嬉しいわけでももちろんないのだが。
「私は母とは違う」
という確固たる自信があるから、些細なことはどうでもいい。
年を取って、味覚も母に似てきた。
皮肉なものだと思う。
だがしかし。
ずっと『家』に囚われて、有期雇用や短期の仕事を転々とし、外の社会もほとんど知らずに専業主婦になった母と、
実家を出て4、5年独り暮らしをして、結婚してもフルタイムで働いている(まぁ、若干のインターバルはあったけど)私は、きっと世界の見え方が違う。
なによりも、私は自分一人くらいは自分で食べさせて行けることが分かっているから、彼女のように男たちを家庭のなかでだけ支配しながら君臨することなどしなくていいのだ。
私と主人は、その点でなんら上下関係はない。
母のようになりたくはないと思う。
思春期の頃に比べれば、彼女について一定の理解はできる。
けれど、許すことはしないでおこうと思う。
私は、彼女とは似ていない。それでいいのだ。