きっとそれは宝物だから。
気がつけば大学を出てからもう何年も経っていて、
彼と毎日のように顔を会わせていた頃が遠くなっていく。
いつでも味方でいてくれて、干渉せずに見守ってくれて、
私に役目をくれて、頼りにしてくれて、
私がほしい言葉と、私に必要な言葉をくれた人。
大人を信頼できなかった私に、正直に接してくれた人。
結局捨てきれない「好き」の端っこを握ったまま、色褪せていくことに悲しさを感じるけれど、でも手放すことができずにきる。
忘れてしまったら、私の中のなにかも死んでしまう気がして。
それくらい、彼と、彼に育ててもらった時間が、私の根っこを作っている。