バナナブレッドのプディング
「バナナブレッドのプディング」大島弓子
私は、主人公の衣良にとても共感する。
共感を通り越して自己投影する。
自分を肯定できない。
コントロールできない混沌に苛まれ、
そして、『堂々と自己肯定できる理由』にすがりつく。
それがどんなにとっぴであったとしても、彼女にとっては救いなのだ。
そして、どんどん『神様』の存在は大きくなっていく。
それでも、彼女の魂の救済は、期待していない方向から、嵐のようにやってくる。
それが真実の希望だと思う。
私たちの思い付く限りの幸運程度では、魂丸ごと救われるのは、難しいだろう。
『神様』だと思ってはいけないと分かっている。
でも、彼というフィルターを通すと、私は世界が愛しいし、
私は私すら愛せるような気がするのだ。
それは救いではなく依存だと、分かっているけれど。